ジブリ作品の中でも人気の作品である『魔女の宅急便』
作品の中にはキキの飼い猫でもあり相棒である黒猫のジジが登場します。彼は物語の中盤まで人間の言葉を使ってキキと喋っています。
しかし、キキが魔法の力を失いかける物語中盤から最後まで、彼は人間の言葉を話さなくなってしまうのです。
今回はジジが喋れなくなってしまった理由を様々な都市伝説などと共に徹底解説していきます!
魔女の宅急便でジジが喋れなくなったのはなぜ?
キキの魔力が弱くなったから?
映画を見た人が一番思っていることだと思いますが、実はこれはジジが喋れなくなった理由ではありません。
キキは目を覚ましてジジの声が聞こえないことを知り、ハッとして外へと飛び出し、空が飛べなくなっていることにも気づきます。
このシーンがあるために、ジジと話せなくなったことが、魔法が使えなくなったことの一部のように感じてしまいます。
キキの魔法の一つとして空を飛ぶこと、動物(ジジ)と話すことがあるのだと捉えてしまいがちですが、そもそもジジと話していたこと自体は魔法ではありません。
私も最初は魔法の一つだと思っていたので、これを知ったあなたも衝撃を受けていることでしょう。
よく考えてみるとキキはジジと会話しているわけで、動物と会話できるわけではありません。
映画の冒頭でも、旅立つ前に母親が「キキは空を飛ぶことしか覚えなかった」と言っています。
原作でもこの設定は同じで、キキは旅立つ時には飛ぶことしかできません。
そのため、ジジとの会話が魔法の能力だと思っていると、途中で話せなくなり、ラストシーンでも離せないままのジジを見て違和感を覚えてしまいます。
こうなると、ジジと会話していたのはなんだったのか?どうして急にはなせなくなったのか?という疑問の答えには到達できません。
しかし、その答えは、宮崎監督自身の言葉で表されています。
トンボと恋に落ちたから?
キキとトンボは将来、結婚して夫婦となります。 2人には双子の子どもが生まれ、名前はニニとトト。
原作ではニニとトトが主人公の物語も存在しています。
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キキはトンボと出会い、素直になれずにそっけない態度ばかりとってしまいます。
このことには自分でも気づいていますし、そのことについて悩んでいたと思います。
そして、その悩みがピークに達してしまい、寝込んだ後からジジと話せなくなります。
ただ、この恋の悩みこそがジジと話せなくなった理由かと言うと少し説明不足で単に「恋に落ちたから」と言うのは納得いかないはずです。
ジジが彼女(リリー)と恋に落ちたから?
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キキの恋愛と同じように、ジジが恋をしはじめた頃と被っているため、ジジが人間界の猫と恋に落ちたことによって人間の猫に近づいたとともとらえることはできます。
ただ、もしこういった設定のものだとすれば、少々浅い設定になってしまいます。
「魔女の宅急便」という作品の特性上、普通では考えられない事象が起こっている世界なので、ジジと会話ができなくなったこと自体が「普通」であるため、ジジが恋に落ちて普通の猫になったと考えるのは世界観と異なっています。
そのため、これもまたジジと話せなくなった原因としては少し違います。
キキ自身が成長したから?
成長という言葉は様々な状況を含む広義な言葉なので、正解でもあり不正解とも言えます。
また、恋愛をしたからということもこの「成長」には含まれるので、なんとも言えないところです。
「成長したからジジの言葉がわからない」というのも、あまりに安直な感じがしてすんなり受け入れがたいと思います。
ここでの成長とは精神的な成長と捉えた方が正解により近いと思います。
ただ、「精神的に成長した」から「魔法が消えて、ジジと話せなくなった」という解釈をしてしまうと、ここでも疑問が残ってしまいます。
しっかり見ている方は気付いていると思いますが、もし魔法の力が消えたためにジジが話せなくなったとすると、トンボを助けるために空を飛ぶ力を取り戻したキキは最後のシーンでジジと話せても良いはずなんです。
しかしジジは「にゃー」としか言わず、さらにそれに対するキキの反応は、微笑み返すだけ。
そうなると、精神的な成長による魔法の消滅が原因ではなく、その他の理由があると考えるのが妥当です。
ジジが喋れなくなった本当の理由
キキはトンボを助けるために力を出し、魔法スランプは乗り越えたはずですが、ジジは喋らないまま。
ジジとなぜ話せなくなったのかという疑問だけが残っている方は多いでしょう。
その本当の答えは、宮崎監督のコメントにありました。
「ジジの声はもともとキキ自身の声で、キキが成長したためジジの声が必要なくなった。変わったのはジジではなくキキ。」
また鈴木敏夫プロデューサーも次のようにコメントしています。
「(ジジは)ただのペットじゃなくて、もうひとりの自分なんですね。だからジジとの会話っていうのは、自分との対話なんです。」
都市伝説的に考察されているものとは全く違ったもので、これこそが本当の答えです。
そもそもジジが話している声というのは、キキ本人の心の中の声なのです。
これは、自分自身の中にもうひとりの自分を表し、周りで起こる出来事への迷いを意味しているととらえることができます。
思春期で素直になれず、そんな自分に悩みながらいつも自問自答していたということです。
この声が消えてしまう。
つまり、この自問自答がなくなり、迷うことがなくなった。
聞こえなくなったというよりは、必要がなくなったことを意味しています。
だからこそ、ジジの声は戻らないですし、そのままでもキキは特に気にも留めていない様子だったのです。
宮崎監督はこれを成長の証として表現したと言うことです。
どうやら、誰がどう見てもいつの間にかそう解釈してしまうという、宮崎監督のトリックにまんまとはまってしまったようです。
もしかしたら、実際にはキキは猫とは話してなくて、ただ一人ごとを言っていた、または物語自体が、キキ目線で語られていたのかもしれません。
この宮崎監督の考える表現に最初から気づいた方は少数でしょう。
監督自身はこの表現に気付いてほしいというよりも、「わかる方にはわかる」「それがわからなくても楽しめる」という作品作ることが狙いだったようです
まさにその狙い通りの作品となっており、わかりやすいストーリーの中に非常に深い意味が隠された本当にすごい作品です。
ジジと話していることが魔法だと思ってしまうのもアリですし、初めからそのことに疑問を持つのもアリ。
ただ、魔法の力だと思っていると謎が残ってしまうってことです。
ただ、それでも見たあとにも、こうして作品について考察したりすることもまた狙いだったのかもしれませんね。
まとめ
いかがだったでしょうか?知れば知るほど奥が深い魔女の宅急便。
あなたはジジが喋れなくなった理由をどう考えて、どう感じたでしょうか?ぜひコメントなどもいただけると嬉しいです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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