アガサ・クリスティによって1934年に発表された長編小説を映画化した映画「オリエント急行殺人事件」
1974年にも映像化されましたが、再度キャストを変えて2017年に公開されました。
本作の極めて重要なパーツの一つに「アームストロング事件」があります。
裕福なアームストロング大佐の屋敷から幼い一人娘が誘拐され、身代金を支払ったものの遺体となって見つかる、という痛ましい事件。
この「アームストロング事件」はある実際にあった事件がベースになっています。
実際にあった事件とはなんだったのでしょうか?
そこで、今回はオリエント急行殺人事件のアームストロング事件について解説していきます。
アームストロング事件の元ネタは「リンドバーグ事件」
本作の極めて重要なパーツの一つとなっている「アームストロング事件」
この元ネタとなっているのが、「リンドバーグ事件」
この事件はいったいどんな事件だったのでしょうか?
詳しく解説していきます!
アームストロング事件とは?
やっとオリエント急行殺人事件観れた
キャスト豪華だったなあ
まあ前小説読んだから内容は知ってたけど
アームストロング事件の悲しみ苦しみがすごい伝わる pic.twitter.com/Wjq83xnvfj— hi-lite (@Sntsy0727) July 14, 2018
アメリカで大佐の娘が誘拐され、身代金を払ったにも関わらず遺体となって発見。
身籠っていた妻はお腹の中の子どもと共に亡くなり、アームストロング大佐も自殺してしまったという、悲劇的な事件。
さらに、アームストロング家に勤めていた召使いはショックによって死んでしまいます。
これが引き金となり、今回の「オリエント急行殺人事件」が起こってしまったのです。
元ネタの「リンドバーグ事件」とは?
リンドバーグ愛児誘拐事件(1932.3.1)。 pic.twitter.com/6LAe7L6Cg7
— Yu_Luck (@Yu_Luck) February 28, 2019
1932年に初の大西洋単独無着陸飛行に成功したことで有名な飛行士チャールズ・リンドバーグ。
その長男チャールズ・オーガスタス・リンドバーグ・ジュニア(当時1歳8ヶ月)がニュージャージー州自宅から誘拐されます。
現場には身代金5万ドル(約500万)を要求する手紙が。
その後、10週間に及ぶ探索と誘拐犯人との身代金交渉がありましたが、最終的には、邸宅付近でトラック運転手が、長男が死亡しているのを発見。
最悪の結末を迎えました。
それから2年後、身代金の金券(番号を控えていたもの)がガソリンスタンドで使用され、ドイツ系ユダヤ人移民のリチャード・ハウプトマンが犯人として浮上。
彼の家には1万2千ドル以上の金券と拳銃が隠されており、これについて、仕事仲間のイシドア・フィッシュから預けられたものだと話していた。
しかし、次のような証拠からハウプトマンが犯人だとして裁判が始まることになるのです。
- 脅迫状に書かれた文字は、スペルミスも多々、見られ、そのどれもがドイツ語に近いタイプミス。
- 唯一、犯人と接触したコンドン博士とリンドバーグ本人が、「犯人にはドイツ訛りがあった」という証言…。
- 誘拐時に使われた木製のハシゴは手作りで、逮捕されたドイツ人のハウプトマンの職業は大工。
- リンドバーグが身代金を支払った後に、ハウプトマンは大工の仕事を辞めている。
- ハウプトマンが犯人として注目されると、目撃証言などが報告されている。
- ハウプトマンはフィッシュという人物と詐欺を働いていた過去があった。
- 事件から3年以上経った後に、殺人で告訴されたハウプトマンの裁判が始まります。
しかし、ハウプトマンは裁判の終了まで無罪を主張し、弁護のために大金も払いました。
ちなみにハウプトマンの主張は次のようなものになっています。
- 紙幣は自分が金を貸していたフィッシュから手に入れたものである→元々は自分のお金じゃない
- さらに、お金を貸していたフィッシュは事件の数年後、ドイツへ帰国し、そこで死亡している。→罪の意識から自殺?
- 木製のハシゴは極めて稚拙(チャチ)な作りのため、自分は大工で、あんなハシゴは作らない。
- 事件当日は仕事をしているというアリバイがあり、夜の9時には妻を迎えに行っている。
しかし、ハウプトマンの訴えは通らず、死刑判決が出され、1936年に死刑執行されました。
リンドバーグ事件の真相にはリンドバーグも関与していた?
今日はチャールズ・リンドバーグ誕生日。1927年に成し遂げた初の大西洋単独無着陸横断飛行はビリー・ワイルダーがJ・スチュワート主演で「翼よ!あれが巴里の灯だ」として映画化。後年愛児の誘拐殺人事件が起き、これを元にアガサ・クリスティが「オリエント急行殺人事件」を書いたと言われています。 pic.twitter.com/3ZiDHWDpfK
— 阿乱隅氏 (@yoiinago417) February 3, 2019
死刑執行後、「自分は死んだジュニアである」と名乗りを上げるロバート・アルジンジャーという男性が現れます。
そのアルジンジャーは次のような証拠を提示しています。
- アルジンジャーの父フレッドは、リンドバーグ家の女性使用人で自殺を遂げたシャープ、そしてハウプトマンと交流があった。
- ハウプトマンたちが一緒に写っているとする写真を提示。
- アルジンジャーと父フレッド、母ナンシーの間に血縁関係もないことをDNA鑑定で証明。
- 殺害されたジュニアは耳が不自由で、ロバートも耳が不自由
- 生涯殆ど形の変化しない耳の形もそっくり
このほかにも、高齢になったアルジンジャーは、晩年のリンドバーグと顔かたちが非常に良く似てきているなども主張しています。
また、リンドバーグが息子のジュニアを殺そうとした動機として挙げられているのが、
- リンドバーグの生前様々な悪質な奇行が、息子を死なせる何らかの原因となったのではないか
- リンドバーグの妻アン・モローの父ドワイト・モローが、遺産の配当金年30万ドルの受取人をジュニアに指名していたことによる、遺産目当ての犯行
などを、アルジンジャーが主張しています。
実際、ジュニアの死後、遺産の配当金はリンドバーグに向かっています。
また、ロバートアルジンジャーは、「真実を知りたい」としてリンドバーグ家にDNA鑑定を申し入れているが、リンドバーグ家は拒否しています。
本当の真実はどうだったのか、これについて、判決は降っていますが、謎の多い事件となっています。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は「オリエント急行殺人事件」のアームストロング事件について解説しました。
元ネタとなった、リンドバーグ事件はハウプトマンの死刑という形で幕を閉じているため、その真相は永遠に謎のままです。
少しモヤモヤが残る気がしますが、これも事実として、受け入れていくしかないのかもしれませんね。
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※本ページの情報は2021年4月時点のものです。
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