「英国王のスピーチ」ライオネルローグとジョージ6世の吃音の訓練方法は？早口言葉のシーンについても

「英国王のスピーチ」は幼い頃から吃音症に悩み、人前で話すことを極端に恐れるジョージ6世は言語聴覚士ライオネルローグとの訓練を経て、問題を克服していく感動の物語。

本作品の中にも、吃音を克服させようとライオネルがジョージに教えた訓練方法がいくつもあります。

今回は、ライオネルローグが提案した吃音を克服するための訓練方法についてご紹介します！

「英国王のスピーチ」ライオネルローグとジョージ6世の吃音の訓練方法について

ライオネルが吃音を克服するために行った訓練方法は、以下のような方法だったようです。

身体的訓練：運動

・肩、体全体の力（りき）みを抜く運動。

・顎（あご）の力みを抜き、口の周りの筋肉をゆるめる運動。

・横隔膜の動きのために、床に横になって腹筋を強める運動。

発声に関する訓練：歌や演習

・大きな声を出して、音を伸ばす発声練習。

・人前でのスピーチでは、直立不動ではなく、自然に上半身を前後に軽く動かしながら話す演習。自然な動きが過度の緊張を発散させる。

・発語練習では、people（ピープル）など、言いにくい単語の前に柔らかな「a」 をつけてスムーズな滑りとする。また、mother（マザー）などの前に、ハミングのように鼻から音をだす「n」をつけて硬さを緩和させる。

・ライオネルとの会話で言いにくい時は歌（スワニー河）に言葉を乗せて話す。

・卑猥（ひわい）語はどもらないから、言いにくければ卑猥語をことばの間に入れて話す。（映画ならではの脚色の可能性あり。）

精神的訓練：信頼関係の構築

身体的な訓練とは別に、ライオネルが一番重要視したことは、精神的な訓練でした。

これは、ジョージ6世に何かをさせるのではなく、ライオネル自身がジョージ6世に寄り添い、絶対的な信頼関係を築くことで、精神的なサポートを行っていったという形になっています。

国王と一般市民という階級の格差はあれど、一人間として信頼関係を築いていくことでよりリラックスし、話すことにストレスを感じることなくスピーチができたのです。

後日、ジョージ6世がライオネルに宛てた手紙には、

「あなたのおかげで自信がもてた・・・」

と書かれているとことからも、ライオネルという存在に精神的な安心感を感じでいたんですね。

その他の訓練：原稿に施した工夫

・スピーチ原稿には、息継ぎの箇所、音をつなげる箇所、単語のまとまりなど、詳しく印を記入して、出来るだけスムーズに話せるよう指導してたことが判っています。

・ラジオ放送では、ジョージ6世のマイクの前に立って、あたかもライオネル個人に話しかけるよう、リラックスできるようにしている。

「英国王のスピーチ」で行われた早口言葉のシーンについて

また英語版の「英国王のスピーチ」ではジョージ6世は吃音を克服するために、早口言葉による訓練を行なっています。

日本語字幕では、

「腫瘍摘出手術の主治医には種々の手術内容の守秘義務がある」

と訳されているのですが、英語ではなんといっているのかわからないといった方もいるようです。

以下に英語のセリフを載せておきます。

I am a thistle-sifter.
I have a sieve of sifted thistles and a sieve of unsifted thistles.
Because I am a thistle sifter.

直訳すると以下のようになります。字幕の内容と全く違いますね。

私はアザミをふるいにかける人です。
アザミをふるいにかけたふるいとアザミをふるいにかけてないふるいを持っています。
なぜなら、私はアザミをふるいにかける人だからです。

今回、日本語字幕では

「腫瘍摘出手術の主治医には種々の手術内容の守秘義務がある」

という風に訳された理由としては、映画を見た人が字幕を読んで、口に出してもらい、いかに発音の練習が大変であるかを体感してもらうために、この文を採用したといわれています。

確かに、発音の練習がどれだけ大変かを理解するには、直訳よりも字幕の内容を使った方が難しく感じ、ジョージの大変さを共感できるかもしれませんね。

まとめ

・「英国王のスピーチ」の作品内では、身体的訓練や発声訓練、精神的サポートのもと、ジョージ6世は吃音を克服していった
・訓練の一つである早口言葉について、日本語字幕では直訳を使用せず、発音の大変さを理解してもらおうと、実際に言いにくい言葉を採用した

ライオネルとジョージ6世が訓練を通して友情を深めていき、最後のスピーチを成功させるシーンは何度見ても感動しますね！

ジョージ6世の吃音について

→英国王のスピーチのジョージ６世が吃音症になった原因や種類は？患った有名人についても

最後まで読んでいただき、ありがとうございました！